進路を選ぶ際に検討すべき一般・消化器外科医の収入について考える

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一般的にハードワークで医師自身のQOL(生活の質)が低いとされる一般・消化器外科ですが、実際はどうなのでしょうか?

QOLと言っても様々なパラメーターがあります。収入、自分の時間や家族との時間、やり甲斐など。

今回の記事では、その中でも人生を大きく左右する「収入」について、一般・消化器外科でキャリアを積んでいる私自身の経験も踏まえて考察していきます。

 医学生さんが進路を選択する際は、こうしたの収入についての情報も人生設計において把握しておく必要があると思います。

一般・消化器外科医の収入源

さて、一般・消化器外科医(以下外科医)はどこから収入を得るのでしょうか?

「病院からに決まっているだろう」という声もあるかもしれませんが、以下のように収入源は多岐に渡ります。

  • 常勤先の病院からの給与
  • 非常勤先の病院からの給与
  • 製薬会社等からの講演料
  • 医療系記事の執筆料

これらは一例に過ぎませんが、それぞれ解説してみましょう。

常勤先の病院からの給与

多くの外科医は常勤の医師として働いており、その勤務先から給与をもらっています。

勤務形態としては、一般的な週5勤務から、土曜の午前中も勤務がある週5.5 など様々ですが、中には平日に研究日という休みの日を設け、非常勤のアルバイトを許可している病院も私立病院等を中心としてあります。

ほとんどの病院で基本給は医学部卒業後の年数で決められており、卒業年度が一緒であれば科を問わず横並びです。専門医の有無によって給料が変わることもほとんどありません。

時間外の手当てがきちんとつく病院であれば、外科は拘束時間も長く、緊急手術等で呼び出しもあるため給与はやや高くなる傾向がありますが、そうでなければ他の科と給与の総支給額はあまり差がないでしょう。

非常勤先の病院からの給与

先述した研究日を設けている病院以外で常勤として働いている外科医が、非常勤のアルバイトを行うことは病院の規則や時間的な問題から困難であることが多いです。

しかし、博士号を取るために大学院に通っている外科医は常勤先を持たないため、研究の合間に非常勤先の病院でアルバイトを行い、その収入が生活を支えることになります。

外科医のアルバイトの詳細については後述いたしますが、当直などの一回の単価は常勤の医師に比べて高く、アルバイトを詰めに詰めると常勤で働くより給料が良くなることもあり得ます。

しかし、一般・消化器外科分野に関しては術後管理等の問題から、手術をばりばり執刀するようなアルバイトの口はあまりなく、非常勤のみの勤務では常勤で働くような外科医としてのやり甲斐は得られないでしょう。

製薬会社等からの講演料

ここ最近は規制が厳しくなり減少傾向にありますが、外科医も製薬会社や医療機器メーカーからの依頼で講演を行うことがあります。

特に特定の分野でエキスパートともなると、講演の機会はぐっと増えて、給与所得以外の大きな副収入となり得ます。

私自身もややニッチな分野になりますが、特定の医療機器を頻繁に使用していた際に、メーカーから講演の依頼が来て使用経験をまとめた講演を行なっておりました。

ただし繰り返しになりますが、外科分野に関して小規模な講演の類はここ数年でかなり減少している印象があるので、一般的な外科医は講演料に大きな期待はできないでしょう。

医療系記事の執筆料

医療系雑誌からWebの記事まで、医療系記事の執筆の機会も外科医にはあります。

フリーのライターは、1文字あたりいくらといった契約で記事を書くが多いですが、連載を持つ医師は1記事あたりいくらといった契約が多いようです。

しかし、医療記事を書く際は情報の正確さが問われるため(もっとも医師個人の倫理観によりますが)、1記事完成させるのに意外と手間がかかるものです。

記事の執筆だけで大きな収入を得るのは難しいでしょうが、勤務時間の隙間を使って執筆することは可能です。

ほとんど呼び出しの無い当直(いわゆる寝当直)などの空いた時間を使って記事の執筆もすれば、二重に稼ぐ形を達成できます。

一般・消化器外科医のアルバイトはどんなものがある?

外科医の行う非常勤のアルバイトにはどのようなものがあるのでしょうか?

メジャーなものとしては以下のものが挙げられます。

  • 外科・救急外来のアルバイト
  • 手術のアルバイト
  • 内視鏡検査のアルバイト

それではそれぞれについて具体的に解説していきましょう。

外科・救急外来のアルバイト

ある程度の規模の病院では平日夜間や休日に救急患者の受け入れを行っております。

常勤の医師だけでは賄えない場合、足りないコマはアルバイトの医師で補うことになります。

救急外来と言っても病院によっては内科外科の救急疾患を問わないもの、外科系の救急疾患のみのもの、と様々です。

一般・消化器外科医は外科的な処置(傷の縫合など)からある程度の内科的疾患が診察出来ることから、救急外来において重宝はされます。

ただしこう言った全般的に患者を診察できる能力は、専門性が低いとみなされるため、時給(ないしは単価)は低くなります。

手術のアルバイト

あまり一般に公開されている案件ではありませんが、手術のアルバイトも存在します。手術のアルバイトは大きく下記の二つに分けられます。

  • 手術の執刀をするアルバイト
  • 手術の助手をするアルバイト

自分のメインの勤務先ではなく、他の病院に出張して手術をするアルバイトがあります。

先述の通り一般・消化器外科分野では、手術の後に合併症などが起こらないよう術後管理をしっかり行わなければいけない手術も多く、執刀だけ行なって終わりというバイトは大変限られています。

しかし、一部特定の手術で名が売れている外科医には、出張手術の話が来ることもあります。

また、医療過疎地で執刀する外科医が足りない病院で、アルバイトの外科医を集めて回しているところもあります。

対して、手術の助手を行うアルバイトは執刀のアルバイトに比べると牌がまだ多い印象があります。

一般・消化器外科の手術は助手を含めて2~3人で行うことが多いのですが小さな病院では外科医の常勤が2人しかいない、ということもあります。

こうなると3人(執刀医1人、助手2人)で行う手術は物理的に手が足りなくなってしましますので、助手をアルバイトの医師で賄うことになるのです。

ただし助手といえども手術に入るためには一定の技量が保証されている必要があるため、一般に公開されている案件はあまりありません。

大学病院に所属している外科医が大学と関係の深い病院に出張してアルバイトを行うケースが多い印象です。

内視鏡検査のアルバイト

通常、胃カメラや大腸カメラは消化器内科を標榜する内科の医師が行うことが一般的です。

ただし、地域や病院によっては外科医が胃カメラや大腸カメラを行うこともあります。

こうしたカメラの技術を持つ外科医は、消化器内科クリニック等で内視鏡検査のアルバイトをすることも可能です。

ただし、カメラを日常的に行なっている消化器内科の医師と競合する上に、消化器内科医師の方が圧倒的にカメラの経験を積んでいるため、案件を奪い合う際に外科医は不利でしょう。

一般・消化器外科医の収入についてのまとめ

それでは一般・消化器外科医の収入についてまとめてみましょう。

  • 常勤先以外からの収入を得ることもある
  • 副収入として救急外来のアルバイトが多い
  • 手術に携わるアルバイトは以外と少ない

外科医が行うアルバイトとして、圧倒的多数は日直や当直で救急外来を担当するバイトかと思います。

縫合を含めた外傷の治療や、腹部疾患を中心に一部内科的な治療や診断もできることから重宝されると思いますが、時給や単価はあまりよくありません。

また、外科医だからと言って、手術の執刀を行うアルバイトが豊富にあるわけではありません。

特に一般・消化器外科領域では手術と術後管理がセットとなっているため、執刀だけして終わりというケースが少ないためです。

今回挙げた以外にも、様々な副業は存在します。今のご時世、兼業ブロガーや兼業Youtuberを積極的に行う外科医も増えてくるかも知れません。

以上、医学生さんが一般・消化器外科の進路を検討する上で参考になれば幸いです。

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