医学部卒業後ほとんどの医学生さんは、ごく少数の例外を除いて医師免許を取得し、医療業界に携わることになると思います。
そこで今回、医学部卒業後の進路にどのようなものがあるのか検証して行きたいと思います。
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医学部卒業後の進路はどのようなものがある?
一度医学部に入ると、それからはレールに乗ったような人生になると思われるかもしれません。しかし実際には様々な進路が開かれております。
それでは医学部卒業後の進路として、一体どのようなものがあるのでしょう?大きく以下のように分類することができます。
- 臨床医
- 研究医
- 企業所属医師
- その他の進路
医学部卒業生の多くが臨床医となって、病院をはじめとした医療現場で働くこととなると思いますが、世間には臨床医以外の進路を選択して活躍している医師もいます。では一体どのような進路選択がおすすめでしょうか?各進路の特徴を見ていきましょう。
臨床医になる場合
医学部卒業生のほとんどが目指すと思われる臨床医として、大きく勤務医と開業医に分類できます。
- 勤務医
- 保険診療
- 自由診療
- フリーター
- 開業医
さらに勤務医は保険診療の病院(クリニック)で勤務する場合、自由診療のクリニックで勤務する場合、フリーター医師として勤務する場合が挙げられます。
基本的に自由診療業界(美容外科、免疫治療クリニック等)の勤務医の給与は保険診療業界の勤務医より高くなる傾向にあります。
私のもとに医師向け求人会社から回ってくる案件でも、自由診療と保険診療のクリニックで同じ卒業後のキャリアで1000万円近く年棒が違う場合があります。
また、現状では特定の医療機関に所属せず、検診や当直のバイトもしくは専門性のある麻酔や内視鏡のバイトでフリーター医師として生活することもできます。
開業医は小さな地域のクリニックからより規模の大きな医療法人の経営者の医師まで様々ですが、特に複数病院(クリニック)、透析クリニック、不妊治療クリニックなどを経営する医師は、開業医の中でもトップクラスの収入を誇ります。
臨床医のまとめ
臨床医の数は多く、モデルケースがたくさんあるため選択しやすい進路と言えるでしょう。将来のビジョンが描きやすいため、手堅く働きたいタイプにおすすめです。
臨床医を選択した場合、割合としては勤務医となるケースが大多数ですが、開業医を目指す場合や、もともと親が開業医で将来的に継承する場合であっても、先ずは勤務医からスタートすることが通常だと考えられます。
いずれにせよ、卒業後継続して保険診療を行う際には2年間の初期研修の修了が必須です。自由診療業界で勤務を希望する際も、初期研修を修了していない医師は採用条件を満たさないことがほとんどですので、臨床医を目指す際は初期研修を行う病院をまずは探していきましょう。
以下の記事も参考にしてみて下さい。
研究医になる場合
研究医とはその名の通り主に医学の研究を行なうことを主な仕事とする医師のことです。活躍の場を大きく分けると以下のようになります。
- 大学
- 研究所
研究機関でもある大学には基礎医学(生化学、生理学など)から社会医学(法医学、公衆衛生)など多数の研究室があります。
研究医の多くはこれら大学の研究室に所属し、日々研究を行ったり、医学生・大学院生達の指導などを行うことになります。
また、理化学研究所などの日本をリードする機関や、海外の研究所で活躍する研究医もいます。
研究医のまとめ
研究医というと、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥先生のイメージが強いかと思います。私も子供の頃は研究者になって癌のメカニズムを解明し、ノーベル賞を取りたいと思っていました。
臨床医学が目の前の患者と向き合う仕事だとすると、医学研究の中でも特に基礎医学は医学の未来を創っていく仕事になります。
医学研究はすぐに結果が出る領域ではないですが、医学の発展のために研究医はなければならない存在ですので、大きなことを成し遂げたいというタイプにおすすめです。
臨床を経て研究される先生もいますが、早くから研究を始めたいのであれば、「MD-Phdコース」というものを利用するのも一つです。
MD-Phdコースは、研究医が減少することを危惧した国立大学を中心に10年程前から導入が進んできたコースで、他の理系学部同様4年生が終了した時点で大学院に入学し研究を開始し、博士号を取得するコースです。
もちろん博士号取得後に医学部5年生に復学して臨床へ戻ることも可能ですし、研究に興味のある学生さんは門を叩いてみてはいかがでしょうか?
企業所属医師になる場合
医師免許を取得した後、企業に所属し勤務するという進路もあります。代表的なものとして以下のものが挙げられます。
- 企業の産業医
- 製薬企業所属医師
企業所属の医師といえば社員の健康管理等行う産業医が代表的ですが、その他にも製薬企業で臨床開発や有害事象の調査を行う医師もいます。
企業所属医師のまとめ
企業所属の医師は、基本的にカレンダー通りに休日を取れ、拘束時間も臨床医に比べ短いことが多いため、自分自身の生活も大事にしたいタイプには向いていると思います。
ただし、求人はあまりオープンになっていないことも多く、個人で情報収集するのが難しければ転職専門の業者に打診する、などが必要となってきます。
その他の進路
上記以外の進路として様々な道がまだまだあります。思いつくものをあげると以下のようになります。
- 法医学者
- 起業
- 芸能人等
地域は限定してしまいますが大学の法医学教室で研鑽を積んだのちに法医学者として監察医務院で働くキャリアもあります。
また、起業する、小説家になる、医師タレントになるなど医療現場という枠にとらわれなければ様々な進路が考えられます。
その他の進路のまとめ
実際に私の知人の中には、医学部卒業後に起業し上場した、塾講師になった、大手広告代理店に就職した、などといった面白いキャリアを選択した医師もいます。
とりあえず医師免許さえあれば食いっぱぐれることはないと思いますので、常識にとらわれず自分の挑戦したいことにチャレンジしてみたいタイプにはおすすめです。
まとめ
一見レールに乗った進路しかないと思われがちな医学部でも、医学部卒業後は実に様々な進路が開かれていることがわかります。それではタイプ別におすすめの進路をまとめてみます。
- 将来の人生設計が立てやすい方がいい→臨床医
- 医学界に大きな変化をもたらすことをしたい→研究医
- 自分の時間を大切にしつつ働きたい→企業所属の医師
- あまり他の医師が参入しない分野で勝負したい→その他の進路
もともと卒業後の進路をある程度決めて医学部に入学する人もいるかもしれませんが、6年間の学生生活を経たり、実習で実際に勤務している医師をみていると入学当初の目標から考えが変わってくるかもしれません。自分のタイプにあった進路をじっくりと探していきましょう。