都会での研修と比較した医療過疎地での初期研修のデメリットとは?

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前回の記事では、医療過疎地の病院で初期研修を行うことのメリットを私自身の経験も踏まえてお伝えいたしました。

プロフィール欄にも簡単に記載しておりますが、私は人口数万人程度の地域にある唯一の総合病院で初期研修(初期臨床研修)を行いました。 ...

しかしメリットがあればもちろんデメリットも存在します。今回は前回とは逆に、都会の病院での研修と比べてデメリットとなる面を検証したいと思います。

医療過疎地での研修のデメリット

私が医療過疎地での研修を希望したのは、もちろんデメリットを上回るメリットがあると感じたからですが、実際に研修を行うと下記のようなデメリットを感じました。

  • 医師の供給が安定していない
  • 研修医でも厳しい状況での対応を迫られる場面がある
  • 学会や研究会へのアクセスが悪い
  • コミュニティが狭く外を歩けば病院職員や患者さんに出くわす
  • 都会にあるような娯楽スポットが少ない

それではひとつひとつのデメリットについて、私自身のエピソードを交えて振り返ってみたいと思います。

医師の供給が安定していないデメリット

医療過疎地の病院では、その名の通り病床数あたりの医師数は都市部より少ないことが通常です。

こういった病院では、多少は病院独自で医師を採用することもありますが、大学医局からの派遣に大きく頼っているのが現状です。

しかし大学の医局員、特に家庭を持っている医師で進んで医療過疎地へ赴こうとするケースは非常に稀です。

こうした背景から、常勤医が退職した際にすんなりと補充があるとは限りません。

実際、私の勤務していた病院でも整形外科への大学からの派遣が打ち切られ、5人いた常勤医が一気に2人になったことがありました。

研修医にとって指導医クラスの医師が退職したまま補充されないのは、指導を最も必要とする初期研修医時代に適切な指導を受けれず、大きな痛手となってしまいます。

研修医でも厳しい状況での対応を迫られるデメリット

医療過疎地では病院内の医師数が少ないため、研修医でも即戦力として扱われます。

それはばりばり現場の経験を積みたい研修医にはうってつけかも知れませんが、患者さんが厳しい状況にある時に自分で対応をしなければいけない場面がある、とも言えます。

私が研修医になって約1ヶ月後の休日、たまたま一緒に受け持っていた上級医が法事で遠方に行っている時に限って患者さんが敗血症性ショックになったことがありました。

最終的には救急の先生やたまたま院内にいた外科の上司の力を借りて、なんとか対応することが出来ましたが、その時は現場経験が乏しいながら、何を優先的に行うべきか頭をフル回転させて臨みました。

こうした経験は後々自分の大きな力になりますが、当時は非常に精神をすり減らすこともありました。

また、よっぽどでないとトラブルになることはないと思いますが、上手くいかなかった場合は自信の喪失に繋がってしまいます。

学会や研究会へのアクセスが悪いデメリット

通常、大きな学会や研究会になればなるほど都市部で開催されます。

そして医療過疎地は都市部から離れているため、必然的にアクセスが悪くなってしまいます。

平日の夜に開催されることが多い小規模な研究会などは、物理的に参加が困難になります。

最新の医学知識のアップデートとして研究会の参加は欠かせませんので、都市部での研修に比べると大きなデメリットの一つでしょう。

私自身は都市部の研修医に負けないよう、休日はなるべく色々な研究会に参加するようにしていたのはいい思い出です。もっとも車で数時間くらいかけて行っていましたが。

コミュニティが狭いデメリット

都市部から研修のために医療過疎地に来た当初、想像以上にコミュニティが狭いと感じました。

特にスーパーや本屋、ファミレスは数店舗しかありませんでしたので、仕事帰りや休日に行くと病院職員や患者さんなど誰かに遭遇するような状況でした。

オフの時は職場のことを忘れてゆっくり休みたいのに、窮屈でくつろげないと人によっては感じてしまうかも知れません。

しかし最も大きなデメリットは、患者さん同士が友人だったり親戚だったりする割合が高く、特に悪い噂、例えば「親戚の~さんは~病院で亡くなった」などはすぐ広まってしまうことがあるということです。

ちょっとしたことでも噂になる可能性があり得るということを念頭に置いておかなければなりません。

都会にあるような娯楽スポットがないデメリット

都市部でしか生活したことがない人にはわからないかも知れませんが、医療過疎地には驚くほど娯楽スポットがありません。

例を出すと、私の研修していた市には映画館がありませんでした。また、カラオケボックスは1件しかなく、都会のように深夜まで営業はしていませんでした。

もちろん研修医の間はストレスを溜めることも多いので、休日に息抜きをすることも大事です。

しかし、都会のように手軽に映画を観に行ったり深夜まで営業しているバーに飲みに行ったりすることが難しいのが医療過疎地でのデメリットです。

もちろん、都市部では出来ないオフの楽しみ方もあります。私自身は自然の中をドライブしたり、夏はよく海水浴場で泳いだりすることで息抜きしていました。

デメリットのカテゴリーに入れましたが、医療過疎地でのオフを楽しめるかは自分次第かも知れません。

医療過疎地での初期研修のデメリットのまとめ

以上、私の経験も交えて医療過疎地での初期研修のデメリットを挙げていきました。

それでは簡単にまとめてみましょう。

  • 医師の供給が安定していない→指導医がいなくなる可能性がある
  • 研修医でも厳しい状況での対応を迫られる→上手くいかなければ自信の喪失に繋がる
  • 学会や研究会へのアクセスが悪い→知識のアップデートが遅れる可能性がある
  • コミュニティが狭い→噂が広がりやすい
  • 都会にあるような娯楽施設がない→ストレスを溜め込みやすくなる

このようにデメリットもある医療過疎地での研修生活ですが、自分次第でデメリットをメリットに変えることも出来ると思います。

前回の記事と共に今回の記事もご参考に、医療過疎地での研修も検討頂ければと思います。

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