医師のための患者とのコミュニケーション不足解消法!注意点をオーシャンズ11に学ぶ

医師、特に患者さんを診察し治療を行う臨床医にとって、コミュニケーション能力の高さは仕事を円滑に行う上で必要不可欠です。

私の勤務する外科では、「病気の告知」、「手術を承諾してもらうための術前の説明」、「思わぬ合併症が起きた際の説明」など、患者さんに説明して納得させて同意を得ないといけない場面が多数あり、コミュニケーション能力が求められます。

患者さんとのコミュニケーション不足が原因で、思わぬトラブルに繋がることも医療現場ではあり得ます。

しかし、医学部では医療面接の行い方(問診の仕方)などは学ぶものの、コミュニケーションの取り方について深く学ぶ機会はなかなかありません。

もちろん生まれつきコミュニケーション能力が高い人もいますし、学生時代のアルバイトを通してコミュニケーション能力を鍛えてきた人もいるかと思いますが、医師の多くが実際に研修医として現場に出て、患者さんと接する中でコミュニケーション能力を養っていくのではないかと考えられます。

私自身も患者さんとのコミュニケーションの取り方は、誰かに教わったわけではなく現場で身に付けていった要素が大きいです。そんな中、2001年に上映された映画「オーシャンズ11」を観ていると、患者さんとのコミュニケーションを取る上での注意点が凝縮された台詞が出てきました。

今回の記事ではその台詞をもとに、患者さんとのコミュニケーションの取り方について考えていきたいと思います。

映画「オーシャンズ11」とは

本記事は映画の内容について言及するものではありませんが、簡単にあらすじを説明したいと思います。

ジョージ・クルーニー扮するダニエル・”ダニー”・オーシャンは、凄腕の泥棒ですが、窃盗罪で4年服役していました。出所後に自らの右腕で、同じく泥棒でもあり詐欺師でもあるラスティ・ライアン(ブラッド・ピット)を含む10人の仲間を集めて、ラスベガスのカジノの金庫の中の大金を狙います。

当然の事ながらカジノのセキュリティはきわめて高く、金庫強盗は困難を極めるのですが、11人の精鋭のメンバーがあらゆる策を駆使して挑むのです。

映画の中でラスティ・ライアンは、メンバーの中でも若手のライナス・コールドウェル(マッド・デイモン)に相手を欺く際の技術を教えるのですが、その際の台詞が患者さんとコミュニケーションを取る上での視点で聴いて見ると、大変興味深いものでした。

ラスティの台詞から学ぶ

それではブラッド・ピット扮するラスティ・ライアンが語った台詞とは一体どんなものかというと、以下のようになります。

伏し目は嘘をつく前兆で上目は無知な証拠。答えは短く簡潔に。相手の目を見ろ、だか睨むな。軽快な口調で要点ははっきり、印象は薄く。相手に気に入られろ、だが覚えられるようじゃダメだ。

引用:オーシャンズ11 字幕版

実にこの台詞、患者さんとコミュニケーションを取る上でのヒントが散りばめられています。具体的には以下の部分になります。

  • ”伏し目は嘘をつく前兆で上目は無知な証拠” 
  • ”答えは短く簡潔に” 
  • ”相手の目を見ろ、だが睨むな”
  • “軽快な口調で要点ははっきり”

それでは一体どのようなヒントが込められているのか、関連する部分はまとめてそれぞれ解説していきましょう。

”伏し目は嘘をつく前兆で上目は無知な証拠” ”相手の目を見ろ、だが睨むな”

この台詞には患者と話す際の目線の置き方のヒントが込められています。

患者さんに嘘をついて騙す医師はいないと思います。しかし、深刻な病気が疑われる患者さんに病状を問われた際、診断が確定されるまではシリアスな話を避けようとしても、伏し目がちで会話してしまうと「何か隠してるのではないか」と感の鋭い患者さんであれば疑うかも知れません。

また、患者さんの質問に対して自信がない時に、上目がちで話してしまうと、自信のなさが増幅されて伝わってしまうかも知れません。

シリアスな話をぼやかす場合や、多少自信がない場合も、伏し目や上目は避けて堂々と話した方が患者さんに安心感を持たれるでしょう。

また、電子カルテの普及によって、患者さんに説明しつつ電子カルテに入力することが多くなり、どうしても診察時に患者さんから目線を逸らしてしまうことが多くなってしまいます。私は以前、救急外来で酔っ払った患者さんに「最近の医者は患者を見ずに診察するのか!」と言われたこともありました。

どうしても電子カルテを操作しつつ診察しなければならない時は仕方がないですが、特に重大な話をする際は相手(患者さん)の目を見て話すように心掛けています。もちろん睨むほど凝視すると威圧感を与えてしまいますので、適度に目線をずらしながらですが。

”答えは短く簡潔に” “軽快な口調で要点ははっきり”

患者さんによっては医師側の説明に対して様々な疑問を投げかけて来ることがあります。

そして患者さんのほとんどは医学的な知識を持っていませんので、疑問に対して詳細に説明しようとすればいくらでも長くなってしまいます。

しかし、いくら平易な言葉で説明してもいたずらに長過ぎる説明では結局理解できなくなってしまいます。

疑問に対しての答えは短く簡潔に行うのが良いでしょう。また、軽快な口調で要点となる箇所ははっきりと話すべきです。

短すぎても説明不足になってしまう可能性がありますので、私は口で説明すると長くなる部分は図などを用いて簡略化し、抑揚をつけて重要な部分ははっきり説明するよう心掛けています。

オーシャンズ11に学ぶ医師のための患者とのコミュニケーション不足解消法のまとめ

以上、オーシャンズ11の登場人物であるラスティの台詞を引用し、患者さんとのコミュニケーションの取り方について考えてみました。以下にまとめて見たいと思います。

  • 伏し目や上目づかいで話すのはなるべく避ける
  • 凝視しない程度に相手の目を見て話す
  • 患者さんの問いにはなるべく簡潔に答える
  • 抑揚をつけて要点ははっきりと軽快な口調で話す

泥棒で詐欺師でもあるラスティから、患者さんとのコミュニケーションにおける注意点を学ぶと言うのは、一見変な感じもしますが、医師は患者さんとコミュニケーション不足にならないよう良好な関係を結ぶために、ある程度演じる能力も必要です。

必ずしも毎回素の自分で患者さんに接する必要はなく、患者さんに応じた医師を演じれば良いのです。そう考えると人を欺くのに長けたラスティの台詞は、理想の医師を演じる上での参考になるはずです。

日常診療のヒントはこのように娯楽映画の中にも隠されていますので、皆さんも映画やドラマ、小説などからそのヒントを探してみましょう。

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